令和6年9月
和歌山の財産の一つである温泉や旅館と言う形態を更に発展させ、どう次世代に繋げていくのか質問させていただきました。
先々月の7月27日 テレビのニュース速報で「佐渡の金山」が世界遺産に登録が決定したと報じていました。
国内の断定リストに記載されてから14年もの長い歳月を費やしましたが、悲願を達成した喜びは大きなものがあると思います。
2023年12月18日 国の文化審議会は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を申請する候補に「書道」を選びました。
今後、国の動きは書道の登録に向けて動いていきます。
それと同じ分野でもう一つの動きがあります。
ユネスコ文化遺産に「温泉文化」を登録しようと2018年に群馬県内の旅館やホテル・観光業者に自治体関係者などが賛同し登録推進協議会を立ち上げ活動が始まっています。
2022年に17道県の役員で立ち上げた「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会も43道府県となり、残すは4都府県となっています。
日本温泉協会など関係3団体を発起人とする全国推進協議会も発足しています。
でも簡単な事ではありません「温泉文化」は文化財保護法上の登録無形文化財には位置づけされておらず、今後は文化財としての登録や国民の機運を高める事が課題となってきます。
そんな中、2023年6月 政府の「骨太の方針」に温泉や旅館が日本固有の観光・文化資源である事が明記されました。
大きな一歩であると認識をしています。
和歌山には有名な温泉地が沢山ありますし、和歌山にとっても必要な活動と考えています。
全国旅館組合連合会や関係する団体では100万筆の署名活動を全国で展開し総理大臣に届けると意気込んでいます。
質問者
新島たけし
知事の「温泉文化」に対する考えは?
「知事の会」の今までの活動内容は?今後の活動は?
今後、和歌山県としてどのように応援し活動するのか?
登録後の和歌山県での波及効果は?
答弁者
知事
温泉は、古くは療養のための湯治にはじまり、清浄・清潔を好む日本人の精神性ともあわさって、日本独自の文化として発展してまいりました。
リラクゼーションの手段のみにとどまらず、その土地の歴史や風土とも深く結びついており、人々との交流や自然を楽しむことのできる、文化的な体験の場であると考えております。
本県にも、500を超える温泉があり、熊野に詣でる前に巡礼者が心身を清める「湯垢離場(ゆごりば)」として世界遺産にも登録されている湯の温泉の「つぼ湯」をはじめ、日本書紀にも登場する日本三古湯のひとつに数えられる白浜温泉、あるいは天然自然の洞窟から絶景の海を臨める勝浦温泉など、それぞれに異なる魅力と歴史があり、今なお多くの人を惹きつける観光資源としても大変重要な要素であると考えております。
この素晴らしい日本独自の資源を守り、世界に向けて発信していくため、日本全国にある温泉を「温泉文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録するという着眼をされたことは誠に慧眼であり、その趣旨には大いに賛同するところであります。
2022年11月に発足いたしました「温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会」には、本県も設立当初から参画しており、現在43道県の知事がメンバーとなっております。登録を目指し、引き続き全国の温泉地の実態調査や国への文化財登録の働きかけ、地域の機運醸成などに、知事の会として団結して取り組んでいくとともに、参画していない都府県の知事にもぜひ加わっていただき、全国の力を結集して登録を目指したいと考えております。
そして御質問にありました、温泉文化がユネスコ無形文化遺産として登録された暁には、世界に向けて日本の温泉文化が発信されることになり、精神性や物語とともに伝えていければ、和歌山県への誘客にも大いに役立つものと考えております。
質問者
新島たけし
「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を、地域のブランド力向上に繋げていくため、「物語」を活かしていく必要があると考えるが、今後の県の姿勢は如何?
答弁者
知事
新島議員御指摘のとおり、地域のイメージを向上させ、その魅力を伝え、深みを増すものとして、それぞれの温泉が持つ物語の力は大変重要であると考えております。先ほど私が例えで出しました、湯の峰温泉の「つぼ湯」であれば、小栗判官と照手姫の物語があります。美人の湯の「龍神温泉」にも物語がある。加太にもある。
色んなところに温泉の物語がありますので、その物語が温泉とか旅館というかたちを通じて、今も昔も多くの人を惹きつける、旅の目的そのものになり得る要素であるとともに、そこに暮らす人々にとりましては、日常の生活でもあり、また地域の誇りでもありますので、それぞれの地域の独自性というものをこれから強めていくために、際立たせていくために、ただいま新島議員から御指導いただきました、物語を通じて県の魅力を発信していくということに努力をしてまいりたいと存じます。